日本臨床免疫学会会誌
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総説
インフラマソームとその関連疾患の最近の知見
斎藤 潤
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2011 年 34 巻 1 号 p. 20-28

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抄録

  炎症反応は生体防御において極めて重要な反応であるが,過剰な炎症性応答は組織障害を引き起こす.IL-1βは主要な炎症性サイトカインの一つであり,様々な疾患がIL-1βによって惹起されることが知られている.IL-1βは前駆型のproIL-1βがインフラマソーム(inflammasome)と呼ばれるタンパク複合体により活性型に変換され,細胞外へ分泌される.インフラマソームは刺激を認識するNOD-LRRs containing family (NLR)タンパクとアダプタータンパク及びカスパーゼ1から構成されており,刺激の種類に応じて様々なNLRタンパクがインフラマソームを構成することにより,個別の刺激に対応してIL-1βを産生することができる.
  インフラマソーム-IL-1β系の遺伝的な異常によって自己炎症性疾患と呼ばれる疾患群が発症することが知られている.代表的な疾患として,クリオピリン関連周期熱症候群,家族制地中海熱,IL-1受容体拮抗体欠損症,PAPA症候群などが知られている.本稿では,インフラマソーム及び,これの異常によって発症する疾患の最近の知見について概説する.

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© 2011 日本臨床免疫学会
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