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日本臨床免疫学会会誌
Vol. 34 (2011) No. 3 P 121-130

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http://doi.org/10.2177/jsci.34.121

総説

  脊椎関節炎には臨床で見逃されやすい2つの重要な疾患が含まれている.反応性関節炎(reactive arthritis, ReA)および腸炎性関節炎(enteropathic arthritis, EA)である.反応性関節炎(reactive arthritis, ReA)は先行感染症として,泌尿・生殖器感染あるいは腸管感染の後に発症する無菌性関節炎と定義されている.先行感染としてはクラミジアが最も高頻度なReAの原因であり,クラミジア関連関節炎(Chamydia-associated arthritis, Chl-AA)と呼ばれている.近年,クラミジアトラコマティス(Chalmydia trachomatis)が滑膜組織において電子顕微鏡で観察され,さらにDNAのみならずmRNAも検出されることより,滑膜に生きた状態のクラミジアが検出されている.以上より,Chl-AAに関しては,従来の「無菌性」という定義の訂正も必要である.Chl-AAの先行感染は女性では無症候性の場合も多く,原因不明の関節炎は常にChl-AAを鑑別診断の一つに挙げることが重要である.EAは炎症性腸疾患(IBD)に伴う関節炎である.我国のIBDの患者数は13万人を越え,年6,500人増加している.我国のIBDの関節炎合併は約10%とすると腸炎性関節炎患者は約1.3万人となり,しかも増加傾向にあると推測される.IBDには末梢性および軸性(脊椎および仙腸関節)の関節炎を合併することがある.仙腸関節炎は注意深い問診と診察(仙腸関節刺激試験)を行うことが重要である.診断困難な脊椎関節炎では腸管の検査を行う.Chl-AAおよびEAは各専門診療科の境界に位置し,泌尿器科および消化器科はもとよりリウマチ専門医にすら認識が薄い疾患である.まずは,ReAおよびEAを十分理解し,疑うことから診断に迫れることができる.

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