日本臨床免疫学会会誌
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総説
中條―西村症候群
金澤 伸雄有馬 和彦井田 弘明吉浦 孝一郎古川 福実
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2011 年 34 巻 5 号 p. 388-400

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抄録

  中條—西村症候群(ORPHA 2615, MIM 256040)は,幼小児期に凍瘡様皮疹で発症し,弛張熱や結節性紅斑様皮疹を伴いながら,次第に顔面・上肢を中心とした上半身のやせと拘縮を伴う長く節くれだった指趾が明らかになる特異な遺伝性炎症・消耗性疾患である.和歌山,大阪を中心とした関西と東北,関東地方に偏在し,30例近い報告がある.全国疫学調査で生存が確認された関西の10症例に加え,新規幼児例が和歌山で見出され,今後も増える可能性がある.長らく原因不明であったが,ホモ接合マッピングにより,免疫プロテアソームβ5iサブユニットをコードするPSMB8遺伝子のホモ変異が同定された.患者由来細胞,組織の検討により,本疾患ではプロテアソーム機能不全のためにユビキチン化,酸化蛋白質が蓄積することによって,p38 MAPK経路が過剰に活性化しIL-6が過剰に産生されることが示唆された.最近,欧米からもPSMB8遺伝子変異を伴う類症が報告され,遺伝性自己炎症疾患の新たなカテゴリーであるプロテアソーム不全症が世界に分布することが明らかになりつつある.

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© 2011 日本臨床免疫学会
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