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日本臨床免疫学会会誌
Vol. 35 (2012) No. 6 p. 503-510

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http://doi.org/10.2177/jsci.35.503

総説

  原発性胆汁性肝硬変(PBC)の発症には,家族集積性や双生児による研究から強い遺伝的素因の関与が示唆されていたが,近年,欧米人を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)により,PBC疾患感受性遺伝子としてHLA領域の遺伝子多型の他に,IL12/IL12Rシグナル伝達,TLR/TNFα-NFkBシグナル伝達,B細胞の成熟・分化,上皮細胞の分化・アポトーシスなどに関連する計21の遺伝子多型が報告された.本邦においても,国立病院機構肝ネットワーク研究班,厚生労働省難治性疾患克服研究事業“難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班に登録されたPBC 1,327名と健常者1,120名のDNA検体を用いて全国規模のGWAS共同研究を実施し,日本人PBCの発症に関わる新規疾患感受性遺伝子を2個(TNFSF15, POU2AF1)同定した.これらの遺伝子は欧米人で報告されたPBCの疾患感受性遺伝子(IL12A, IL12RB2, SPIB)とは異なっていたが,免疫応答においては同一のシグナル伝達系やリンパ球の分化・成熟の経路に位置しており,集団間で疾患感受性遺伝子が異なっていてもPBCの疾患発症経路は共通であることが示唆された.また,欧米で同定された21個の疾患感受性遺伝子の内10遺伝子(CD80, IKZF3, IL7R, NFKB1, STAT4, TNFAIP2, CXCR5, MAP3K7IP1, rs6974491, DENND1B)が日本人でもPBCの疾患感受性遺伝子であることが確認された.複数の集団での疾患感受性遺伝子の比較検討は疾患発症機構の解明のための重要な手がかりとなることが期待される.

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