日本臨床免疫学会会誌
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総説
関節リウマチ患者における重症感染症リスク因子の検討
橋本 篤松井 利浩
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2015 年 38 巻 2 号 p. 109-115

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抄録

  関節リウマチ(RA)の治療にはステロイド剤や既存の疾患修飾抗リウマチ薬に加え近年では生物学的製剤も多く使われるようになり,それらの免疫抑制作用による感染症が問題になっている.感染症は日和見感染のみならず通常の細菌・ウイルス感染など多岐にわたり,感染部位も様々で,時に致命的である.生物学的製剤登場以前からRAそのものの免疫異常による易感染性が指摘されており,そこに治療薬が加わることでRA患者では一般人口に比べ感染リスクが高いことが知られている.重症感染症の主なリスク因子としては高齢,慢性肺疾患や糖尿病などの合併症,治療薬ではステロイド剤が挙げられる.メトトレキサートは有意な感染リスクでないとする報告が多い.生物学的製剤の感染リスクについてはランダム化比較試験およびそのメタアナリシスで詳しく調べられているがその結果は一定しておらず,生物学的製剤開始後の期間(初期)および高用量は有意なリスクとされている.当施設の検討では,3年間で計5441人年の通院RA患者において3.4例/100人年の入院を要した感染症を認め,高齢(70歳以上),男性,病期の進行,身体機能障害,ステロイド剤又は生物学的製剤の使用がその有意なリスク因子として抽出された.RA診療においては個々の症例におけるRA病勢と感染リスクを勘案し最適な治療を決定することが必要である.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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