日本臨床免疫学会会誌
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シンポジウム
シンポジウム3-5 開発支援者としてのPMDA
久米 晃啓
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2016 年 39 巻 4 号 p. 301

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抄録

  独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)については,医薬品や医療機器の審査を行なう規制者としてのイメージが定着している一方,開発支援者としても大きな役割を果たしていることは,余り知られていないようである.実際には,薬事法改正に伴い「医薬品」「医療機器」に続いて「再生医療等製品」が第三の製品カテゴリーとして確立したこともあって,開発の早期においてPMDAが実施している「薬事戦略相談」の利用は急激に増えている.本相談の主な目的の一つは,ヒトに投与してもよい(=治験を開始してもよい)と考えられるモノの「品質」や「安全性」について開発者に理解してもらい,製品が世に受け入れられるための要件を早期から念頭において,全体の流れを意識しつつ開発を進めてもらうことである.このような観点から言うと,薬事の常識とアカデミアの認識のギャップはまだ大きく,できるだけ早くそれを埋めることがスムーズな開発につながる.治験デザインについても,PMDAでは,第I相から第II相,第III相へと開発相の進行に合わせて相談を行なっている.ここにおいても重要なのは,開発戦略全体を見据えた上で,それぞれの試験にどのような意味を持たせるか,よく吟味することである.医療製品開発に王道はなく,倫理と科学の裏付けをもって一歩一歩確実に進むしかないが,これは同時に,開発リスクを減らす最良の方策とも言える.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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