日本臨床免疫学会会誌
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特集:樹状細胞とマクロファージ
樹状細胞とがん免疫チェックポイント
久保 輝文廣橋 良彦鳥越 俊彦
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2016 年 39 巻 5 号 p. 468-472

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抄録

  19世紀から提唱され,20世紀を通じた先人たちの研究の積み重ねによってがんはヒト免疫システムによって抑制されることは確実であることが明らかとなった.これまでに様々な方法で免疫によるがん治療が試みられたが,残念ながらその効果は十分ではなかった.しかし,近年相次いで登場した免疫チェックポイント阻害剤は一部のがん種において既存の化学療法を上回る効果が得られており,もはや免疫治療は手術治療,化学療法,放射線治療に次ぐ第4の標準治療としての位置を確立しつつある.樹状細胞が発現する種々の免疫チェックポイント分子にはがん免疫における役割がいまだ不明な分子が多数あるのみならず,すでに臨床応用されている分子に関しても従来知られていた働きとは異なるふるまいを示し得ることが明らかとなってきた.今後,さらなる免疫チェックポイント分子の機能の解明によって,がん免疫療法の高い奏効率と副作用の低減が期待されている.本稿では樹状細胞が発現する代表的な免疫チェックポイント分子について,がん免疫の見地から概説する.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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