日本臨床免疫学会会誌
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特集:がん免疫チェックポイント阻害剤の免疫性副作用
免疫チェックポイント阻害剤によって誘発される多彩な自己免疫反応性副作用 — interleukin-6を介する乾癬様皮膚炎を中心に —
沖山 奈緒子田中 亮多
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2017 年 40 巻 2 号 p. 95-101

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抄録

  現在,悪性黒色腫への免疫チェックポイント分子programmed cell death-1(PD-1)の阻害抗体製剤であるニボルマブ使用を皮切りに,様々な癌腫で本剤による癌免疫療法が試みられており,特に悪性黒色腫では,有効な抗癌剤がなく予後不良の疾患であったため,有望な治療選択肢となっている一方,その作用機序より,自己免疫反応も増強されて,様々な免疫関連有害事象(immune-related adverse events: irAEs)が発症することも避けえない.ニボルマブ投与後irAE発生例を供覧する.症例1:69歳女,既往に橋本病.3回投与後に甲状腺機能低下が顕在化,エコーにて破壊性甲状腺炎あり,甲状腺ホルモン補充療法を要した.症例2:80歳男.4回投与後に急性の甲状腺機能亢進症発症.症例3:85歳女.2回投与後に四肢体性感覚障害,筋力低下を呈するpolyradiculoneuropathyが発症.大量γグロブリン点滴療法,PSL 40 mg内服にて加療.症例4:77歳男.IFN-β局注療法後に11回投与後,全身に乾癬様皮疹が多発,レチノイド内服にて加療.症例5:症例2と重複,甲状腺機能亢進症と同時期に,全身に乾癬様皮疹が多発,PSL 40 mg内服にて,皮疹も略治.乾癬性皮膚炎や既存乾癬増悪例,他のirAE発症例,irAEなし例において,ニボルマブ投与前後で血清サイトカインを測定したところ,irAEなし例では7例中5例で血清IL-6値が低下していたのに対し,irAE発症例では全例で上昇しており,特に乾癬性皮膚炎や既存乾癬増悪例で有意であった.一方,血清TNFα値は,ニボルマブ奏功例で低下し,無効例で上昇する傾向にあった.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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