40 巻 (2017) 4 号 p. 293b
PD-1/PD-L1による免疫制御は,主に腫瘍免疫の分野で近年注目を集めているが,PD-1欠損マウスはループス様病態を呈し,PD1遺伝子はヒトSLE,RAの疾患感受性遺伝子であることより,自己免疫疾患発症抑制においても重要な役割を果たしていると考えられている.当研究室で同定したCD4+CD25−LAG3+制御性T細胞(LAG3+ Treg)はPD-L1を高発現し,PD-L1はその抑制能において重要な役割を果たしていることが示唆されている.今回我々は,LAG3+ TregのPD-L1発現に着目し,その発現機構につき検討した.LAG3+ Tregを含む各種細胞サブセットのマイクロアレイ解析等より,PD-L1発現誘導に関わる転写因子としてKruppel-like factor 1(Klf1)に着目した.Klf1はヘモグロビン構成分子βグロビンの転写を制御し,Klf1欠損マウスは造血障害で胎生致死となるため,免疫におけるKlf1の役割はこれまで不明であった.CD4陽性T細胞にレトロウイルスベクターpMIG-Klf1を用いて遺伝子導入すると,Klf1導入細胞でPD-L1の発現増強が見られた.また,Klf1によるPD-L1発現制御機構についても検討し,Klf1によるPD-L1発現にはPI3K-mTORシグナル伝達経路が関与していることが示唆された.本研究では,LAG3+ Tregに特異的に高発現する転写因子であるKlf1が,PI3K-mTOR経路と協働してPD-L1発現を誘導している可能性が示された.以上の結果より,Klf1の発現制御は自己免疫疾患の新たな治療標的となることが期待される.