20 巻 (1997) 2 号 p. 117-125
症例は, 69歳,女性.食道静脈瘤合併肝硬変,間質性肺炎と診断され,当院入院となった.多彩な自己免疫異常を伴い,自己免疫性肝炎(AIH)から進展した肝硬変と考えられた.入院後,大腸潰瘍による下血を合併し,肝不全に至り死亡した.剖検では多発性肝細胞癌を合併した肝硬変,壊死性半月体形成性腎炎,大腸血管炎が証明された.
本例は, P-ANCAの対応抗原とされるmyeloperoxidase (MPO)とcathepsin Gに対する抗好中球細胞質抗体(ANCA)が共に陽性で,各ANCAを特徴とするANCA関連血管炎とAIHに加え肝細胞癌を合併したきわめて稀な症例と考えられた.