日本臨床免疫学会会誌
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上大静脈症候群を呈したSLEの1例
金月 勇黒坂 大太郎橋本 信也田嶼 尚子
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2000 年 23 巻 3 号 p. 192-199

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抄録
症例は46歳女性. 1994年12月頃より多関節炎が出現し非ステロイド系消炎鎮痛剤が投与されていた. 1995年2月頃より発熱が出現し,近医へ入院となった.しかし,入院後突然,全身性の痙攣が出現し,意識障害も出へ現したため当院へ入院となった.入院時身体所見では意識レベルはIII-300/Japan Coma Scale, また,著明な顔面浮腫を認めた.検査成績では抗核抗体陽性,抗DNA抗体陽性,抗Sm抗体陽性および蛋白尿を認めた.画像所見では胸部レントゲン写真にて胸水,心嚢水,さらに胸部CTにて縦隔リンパ節の腫大が認められた.以上からアメリカリウマチ学会の分類基準によりSLEと診断した.また,著明な顔面浮腫の原因としては縦隔リンパ節の腫大による上大静脈症候群によるものと考えられた.治療としてデキサメタゾン8mg/日の投与を開始したところ,縦隔リンパ節の腫大と顔面浮腫は著明に改善し,また,意識障害も改善した.
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