日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
HLAクラスII (DR, DQ, DP)抗原に対する単クローン抗体Sa 3の作製とその応用
池脇 信直中辻 孝子猪子 英俊安藤 麻子鮑 雲華辻 公美
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 9 巻 6 号 p. 484-494

詳細
抄録
Epstein-Barr virus (EBV)で形質転換したヒトBリンパ芽球細胞株EBV-SA (HLA-A 24, B 7, C-, DR 1, DQ 1, DP 4)を免疫原として得られた単クローン抗体(Sa 3)はEBV形質転換Bリンパ芽球細胞株,バーキットリンパ腫, Pre-B細胞株および末梢血B細胞に反応し,ヒト株化T細胞, Myeloid細胞株および末梢血T細胞に反応しない抗体であることがわかった.またSa 3の検出する抗原の各構成鎖を2次元電気泳動法で解析したところ,分子量31~34kdのα鎖と分子量25~29 kdのβ鎖よりなるヘテロダイマーを沈降させることがわかった.すなわちSa 3はHLAクラスII (DR, DQ, DP)抗原を認識する抗体であることがわかった.さらに,その反応性を明確にする目的でHLAクラスII抗原遺伝子(DQ抗原のα鎖とβ鎖およびDP抗原のα鎖とβ鎖)をリポソーム法を用いて導入した形質転換細胞との反応性を検討したところ, DQおよびDP抗原と反応することが観察された.
また,リンパ球混合培養反応およびPWM刺激末梢血の抗体産生を著明に抑制した.
以上の結果より,今回作製された単クローン抗体(Sa 3)は,ヒトのHLAクラスII抗原を認識する抗体でヒトの免疫応答を細胞レベルで解析できる有用な抗体であることが示唆された
著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top