2018 年 1 巻 3 号 p. 177-182
55歳男性。2型糖尿病の治療のため, dipeptidyl peptidase-4阻害薬を内服している。全身性エリテマトーデスの治療中に, 痒みを伴う皮疹が全身に出現した。好酸球増多, IgEやTARCの高値がみられ, 病理組織学的に慢性皮膚炎の所見を呈することから, アトピー性皮膚炎と診断した。内服抗ヒスタミン薬と外用副腎皮質ホルモン薬により, 皮疹と検査値は改善した。なお, アトピー性皮膚炎の診断時に抗BP180抗体が高値であった。しかし, 経過中に水疱はみられず, 蛍光抗体直接法も陰性であった。皮疹の改善とともに, 抗BP180抗体は減少した。全身性エリテマトーデスの病態やdipeptidyl peptidase-4阻害薬によるTh2活性化が, アトピー性皮膚炎の病勢と抗体産生に影響したのであろうと考えた。