日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌
Online ISSN : 2433-7854
Print ISSN : 2433-7846
総説
免疫アレルギー疾患の病態と分子標的療法
強皮症
浅野 善英
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ジャーナル 認証あり

2019 年 2 巻 2 号 p. 265-271

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抄録

 全身性強皮症に対して承認されている生物学的製剤はないが (2018年5月現在) , フレソリムマブ (ヒト型抗TGF-β1, β2, β3抗体) , トシリズマブ (ヒト化抗IL-6受容体抗体) , リツキシマブ (キメラ型抗CD20抗体) において, その有用性を示唆する臨床試験や症例集積研究の結果が報告されている。フレソリムマブでは, 治療による皮膚硬化の改善と休薬による皮膚硬化の悪化が示されており, TGF-βが本症の重要な線維化誘導因子の一つであるとする従来の病態仮説を支持する結果が得られている。トシリズマブでは第 II 相試験において皮膚硬化の改善傾向が示され, 間質性肺疾患については進行を抑制する可能性を示唆するデータが得られており, 現在第 III 相試験が進行中である。リツキシマブについては皮膚硬化と間質性肺疾患に対する有用性を示唆する症例集積研究が複数報告されており, 現在わが国において多施設共同医師主導治験が進行中である。分子標的薬による治療は病態理解の一助ともなるため, 生物学的製剤による治療の進歩とともに病態に立脚した治療戦略の発展が期待される。

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© 2019 一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
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