日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌
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症例
三陸の漁師に生じたエラコ皮膚炎を伴う納豆による遅発性アナフィラキシーの1例
花田 美穂中川 倫代濱端 明美三宅 裕志天野 博雄
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2020 年 3 巻 3 号 p. 443-450

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抄録

 42歳男, 三陸の漁師。2014年エラコの巣に腕を接触し, 以降, エラコを扱うと顔, 上肢に掻痒を伴う皮疹が生じた。2015年, 2016年に, 全身の蕁麻疹, 嘔気, 呼吸苦, 意識レベル低下を伴う原因不明のアナフィラキシー (An) を生じ, 精査目的に当科を受診した。帰宅後, 納豆を自己判断で摂食し11時間後にAnが出現した。納豆によるAnを考え, プリックテスト (PRT) でポリγグルタミン酸 (PGA) 1, 10μg/ml, 1mg/ml, エラコ棲管のニンギョウヒドラ付着部, 納豆の粘稠成分で陽性であった。納豆による遅発性Anと診断した。エラコにはニンギョウヒドラというエダクダクラゲのポリプ世代が共生し, このポリプに刺されることで, クラゲPGAによる経皮感作が成立し遅発性納豆アレルギーを発症したと考えた。PGAは食品, 化粧品に含まれ, エラコ皮膚炎の既往のある人は, PGAによる遅発性Anを発症する危険性があるので注意が必要である。

(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌, 3 (3) : 443-450, 2020)

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© 2020 一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
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