トレーニング指導
Online ISSN : 2434-3307
Print ISSN : 2433-6742
原著実践論文
高齢者の高速コンビネーション・スクワット・トレーニングの効果-移動能力およびスクワット中の下肢関節角速度に及ぼす影響-
菅野 昌明志賀 友紀天野 雅斗島 典広
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2014 年 1 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

本研究は高齢者の股関節・膝関節伸展動作に足関節底屈動作を加えた高速コンビネーション・スクワット・トレー ニングによる移動能力と下肢関節角速度の変化を明らかにすることを目的とした。自治体の運動教室に参加する日常 的な運動習慣を有する高齢女性12名(年齢:67±3.2 歳)を対象とした。主観的な最大努力で行う高速コンビネーショ ン・スクワット・トレーニングと自体重負荷を用いた一般的な動作速度で行うレジスタンストレーニングを週1回、16週間実施した。その前後に10m速歩、12階段昇段時間を計測し、高速椅子立ち上がり動作中に、足関節底屈、膝関節 伸展、股関節伸展の最大角速度を高速度カメラで撮影し解析した。トレーニング前後の改善率で10m速歩、12階段昇 段時間のそれぞれの中央値で上位改善群と下位改善群に分けて、高速コンビネーション・スクワット動作中の最大角 速度の差を分析した。その結果、10m速歩の上位改善群で股関節伸展動作の最大角速度が有意に改善され、階段昇段能力の上位改善群は、膝関節伸展動作(d =0.87)、足関節底屈動作(d =0.89)の最大角速度の変化率が下位群よりも顕著に高値であった。股関節・膝関節伸展動作に足関節底屈動作を加えた高速コンビネーション・スクワット・トレーニングによる歩行能力あるいは階段昇段能力の改善には、それぞれ股関節あるいは膝関節と足関節の角速度の増加が関与していることが示唆された。

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© 2014 日本トレーニング指導学会
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