主催: 京都大学大学院医学研究科 内科学講座 臨床免疫学
関節リウマチのモデルマウスK/BxNにおけるTh1/Th2バランスを調べた。リンパ節のT細胞を抗原刺激し、培養液中のIL-4, IFNgをELISAで測定すると大量のIFNgのみ検出された。また、刺激T細胞の細胞内IL-4,IFNgを抗体で染めるとTh2<Th1で一見Th1優位な病態に見えた。ところがIL-4欠損KBxNマウスでは関節炎が強く抑制され、またIL-4とGFPが同時に発現される4getマウスとK/BxNを掛け合わせ、各種細胞をFACSで観察するとT細胞と好酸球で強くIL-4(GFP)が発現されていた。T細胞由来もしくは好酸球由来どちらのIL-4が病態に重要かを調べるために、IL-4ノックアウトマウスをT細胞のみ、ホストのみ、もしくは両方に用いてT細胞のトランスファー実験を行ったところT細胞由来のIL-4が発症には重要で好酸球由来のIL-4は必要ないことが示された。すなわち、K/BxN関節炎ではTh1, Th2両細胞が存在するがIL-4を発現するT細胞(すなわちTh2)が発症により重要である。このように、疾患のTh1/Th2バランスを考えるときには、各検査の感度やサイトカインの特性を知った上で評価する必要があり、また関節炎は単純なTh1 diseaseとかTh2 diseaseなどという単純な病態ではないと思われる。