日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第33回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 2-7
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抗p80 coilin抗体のepitope mapping
*後藤 直哉室 慶直
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抄録

 p80 coilinは、snRNPやsnoRNPのmaturationに関与していると考えられている核内構造体Cajal Body上に存在する蛋白で、Cajal Bodyの特異的マーカーとして注目されている自己抗原である。今回、アトピー性皮膚炎や限局性強皮症で報告のある抗p80coilin抗体の臨床的意義を確立するため、日本人の多検体を使ったepitopemappingを行った。【方法】間接蛍光抗体法およびWestern blot法により1306検体から抗p80coilin抗体陽性血清を選び出し、6個のtruncated mutantを用いたWesternblot法、免疫沈降法によりepitopeを決定した。【結果】得られた34例の抗p80 coilin抗体陽性血清と反応したのは、C末端421-576アミノ酸領域に相当するconstructのみであった。抗p80 coilin抗体陽性患者に特異的な疾患は見られなかった。【結論】p80coilinの自己免疫epitopeはC末端のconserved regionに1つのみ存在し、蛋白のconformation依存性も示唆された。また、epitopeの差異が臨床病態を決定していないことも判明した。さらに、本抗体陽性者の疾患は様々で、本抗体は少なくとも膠原病の疾患特異マーカーにはならないと考えられた。今回同定したepitope領域は生物学的機能がほとんど分かっておらず、今後の解明が望まれる。

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© 2005 日本臨床免疫学会
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