主催: 京都大学大学院医学研究科 内科学講座 臨床免疫学
【目的】膠原病患者の免疫抑制療法におけるCMV感染症について検討を行なった。【対象と方法】2002年1月から2005年6月の間に入院した膠原病患者49例のうち、PSL30mg以上にて治療開始され、血球減少、肝機能異常、間質性肺炎、消化管出血、発熱などのためCMV感染症が疑われた16症例についてCMV antigenemia(Ag)法を用い検討した。基礎疾患はSLE 10例、MRA 2例、MCTD 1例、DM 1例、RA 1例、ANCA関連血管炎 1例であった。【結果】CMV-Ag陽性は11例で、治療歴はmPSL pulse7例、免疫抑制剤併用6例であった。CMV-Ag陰性5例はmPSL pulse 3例、免疫抑制剤併用4例であった。CMV陽性症例ではPSLによる治療開始後、38±34日目(7日?124日)にCMV-Ag陽性となった。CMV感染時の白血球数、IgG値に陰性例との有意差は認めなかったが、リンパ球数に有意差が認められた(陽性例353±199/mm3, 陰性例1071±780/mm3, P=0.047)。【結語】免疫抑制療法施行中の膠原病患者ではCMV感染が稀ではなく、CMV-Ag法によるスクリーニングが有用である。特にリンパ球数の少ない例ではCMV感染に十分な注意を払う必要がある。