日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 2-4
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一般演題
抗Wa抗体の対応抗原であるNEFAはtRNAと結合し蛋白分泌に関与する
*井村 嘉孝田中 真生吉藤 元川端 大介大村 浩一郎臼井 崇藤井 隆夫三森 経世
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キーワード: 自己抗体, tRNA, 強皮症
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抄録

抗Wa抗体は強皮症のまれな自己抗体であり,48kDaのtRNA結合蛋白を対応抗原とする.この抗原蛋白は遺伝子クローニングでNEFAおよびNucleobindin-2として報告された分子と一致した.しかしその機能は依然不明であり,その解明を目的としてWa抗原の解析を行った.HEp-2細胞を基質とする間接免疫蛍光法では,Wa抗原は核と細胞質両方に分布した.Wa抗原結合tRNAの同定のために,各アミノ酸特異tRNAに対してprimerを作成し,抗Wa血清沈降tRNAを基質としてRT-PCRを行い,5種のtRNA(His,Lys,Met,Pro,Val)の増幅を認めた.HeLa細胞よりクローニングしたNEFA融合蛋白は抗Wa陽性血清すべてと反応し,対照血清とは反応しなかった.クローニングの際に,exon11欠失スプライシングバリアントを確認した.融合蛋白をウサギに免疫して作成した抗NEFA血清は,HeLa細胞破砕上清を基質としたRNA免疫沈降で抗Wa血清と同じtRNAを沈降した.ヒト組織cDNAパネルを用いた定量PCRにおいて,NEFAは膵臓などの外分泌組織での高発現を認めた.Wa/NEFAはDNA結合ドメインを持つことが報告されているが,我々はさらに特定のtRNAを結合することを明らかにした.Wa抗原は蛋白の翻訳系あるいは細胞外分泌に関わっている可能性が示唆される.

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© 2006 日本臨床免疫学会
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