日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: S2-5
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シンポジウム2
血管障害
*山田 秀裕
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抄録

自己免疫疾患による血管障害として、ANCA関連血管炎症候群は高頻度に非可逆的な重要臓器障害、臓器不全を来し、最も生命予後に影響する疾患群である。 かかる臓器障害克服の試みは、過去30年間で急速に発展してきた。その歴史を振り返ると、1970年代のシクロホスファミドとステロイド大量の併用療法の導入、安全性を高めるためのシクロホスファミド投与法の改良と併用ステロイド投与量の急速な減量法の導入、1990年代のANCA測定法の普及による早期診断、日和見感染症対策、他の免疫抑制薬による寛解維持療法への切り替え、さらに、これらを検証するための多施設共同前向き比較対照試験の実施などが生命予後や重要臓器保全に貢献してきた。 一方、かかる診断治療法の進歩にもかかわらず、予後不良な難治性病態が存在する。寛解導入困難例、びまん性肺胞出血その他の重篤な合併症、Wegener肉芽腫症による眼窩内肉芽腫、感染症合併例などである。かかる症例に対する新しい治療法の試みとして抗TNF薬、抗CD20抗体などが試みられている。また、我が国においても、厚労省難治性血管炎研究班を中心として、重症度別治療プロトコールの策定とその検証のための前向きコホート調査、抗CD20抗体を用いたパイロット試験が多施設共同で進められており、特に我が国に多いMPO-ANCA関連血管炎に関する質の高いエビデンスが確立されつつある。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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