日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: S2-6
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シンポジウム2
骨・関節障害
*熊谷 俊一西村 邦宏河野 誠司
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抄録

膠原病の治療においては、ステロイドがしばしば治療の柱となり、SLE、皮膚筋炎、血管炎などでは、長期にわたって大量のステロイドが使用される。ステロイドの大量使用は大腿骨頭壊死とともに、しばしば二次性骨粗鬆症による骨折を誘発する。骨折は患者のQOLを著しく阻害し、高齢者では骨折後死亡率を上昇させる。また関節リウマチではステロイドとともに、関節局所あるいは全身性の炎症や不動による骨粗鬆症がしばしば見られる。膠原病患者にとってステロイドによる骨粗鬆症と骨折は、他のどの合併症よりも頻度の高いものであり、臨床的に予防しなければならない大きい課題である。 ステロイドは用量依存的に骨折リスクを高めるが、原発性骨粗鬆症に比べ骨折閾値が高い。我々の調査研究(厚労省 橋本班)で、ステロイド大量使用閉経前患者において骨密度が正常にも拘わらず骨折を生じる症例が多数確認された。ステロイド性骨粗鬆症の治療や骨折予防にビスホスホネートの使用が推奨されているが、ステロイド大量使用者における骨折予防効果は明確ではなく、現在大規模な前向きコホート多施設研究を行っている(厚労省 田中班)。前述の調査で、高脂血症が骨折のリスクファクターとなっており、ステロイド大量投与は下垂体を介したエストロゲン分泌障害や、骨形成抑制による皮質骨の厚みも低下させるなど、少量ステロイド使用では認めがたい機序が骨折を多発させると考えている。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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