日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: S4-7
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シンポジウム4
乾癬(乾癬性関節炎)に対する適応とその効果
*朝比奈 昭彦
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抄録

乾癬とは、表面に厚い鱗屑を付着した紅斑局面が多発する、慢性かつ難治性の炎症性皮膚疾患である。一部の患者では関節症状を伴い、強い関節痛とともに関節リウマチと同様の破壊性の関節炎が進行する場合もあり、その効果的な治療法が求められている。これまでは、NSAID、シクロスポリン、エトレチナート、MTXなどが用いられてきたが、その改善効果は限定的であった。一方、最近登場した各種の生物製剤は、乾癬の病態の理解に基づく理論的な治療方法で、ピンポイントに働き、今までの治療法より副作用が少ないと考えられている。生物製剤の全てが必ずしも満足のいく治療効果を示さない中で、Th1系の炎症性サイトカインであるTNF-?}えるTNF-j害薬は、速やかに皮疹を改善させるのみならず、関節症状の改善効果や進行の阻止効果もあり、最も注目されている。すでに米国では、関節リウマチの治療薬であるinfliximabとetanerceptが乾癬性関節炎の治療薬として承認されている。さらに後者は尋常性乾癬にまで適応を広げており、前者も適応拡大される見込みである。完全ヒト型抗体であるadalimumabは、米国で関節リウマチに使用され、また本邦でも承認申請中であるが、現在のところ尋常性乾癬に対する治験が日米同時に進行中である。今後の乾癬の治療のストラテジーは、大きく変革する可能性を秘めている。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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