日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 4-2
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一般演題
免疫抑制療法中に肺ノカルジア症を併発した5例の臨床像
*勝山 直興今村 愉子大久保 道子野崎 俊子前田 聡彦小川 仁史高木 妙子山田 秀裕尾崎 承一
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抄録

多種の免疫抑制薬や生物学的製剤が広く臨床に導入された結果、日和見感染症が重大な合併症として問題となってきている。当科では平成17年7月から平成18年5月までに、関節リウマチ・膠原病治療中に肺ノカルジア症を合併した5症例を経験した。症例は関節リウマチ、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデスが各1例、顕微鏡的多発血管炎が2例であった。平均年齢は64歳(37-80)、治療薬はステロイド単独が3例、免疫抑制薬併用が2例であった。診断は、喀痰または胸水の選択培地での長期培養により確定され、1例は胸水のグラム染色で菌体が観察された。肺炎の画像所見は膿胸2例、空洞病変2例、空洞+網状影1例であった。1例にアスペルギローマの合併もみられた。感染前のリンパ球は平均484/μl(114-833)、血清IgGは平均817mg/dl(275-1459)と低値であった。治療はカルバペネム系抗生物質の静脈注射とST合剤またはミノサイクリンの長期内服療法を行った。経過中1例は、ミノサイクリン減量後に脳膿瘍で再燃した。現在までに全例、寛解ないし臨床的改善が見られている。最近、免疫抑制療法中の患者にノカルジア感染症の合併が散見されるようになった。ノカルジア症の診断には長期培養が必要であり、疑わしい症例では本症を早期から念頭に置き検査を進めていく必要があるものと考えられた。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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