主催: 聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
【目的】好酸球はアレルギー疾患における重要な炎症細胞として認識されており、好酸球遊走因子と複雑なネットワークを形成し、その作用を発現している。Prostaglandin D2(PGD2)の受容体であるCRTH2、eotaxinやRANTESの受容体であるCCR3はそれぞれ好酸球細胞表面に発現し、炎症部への集積に関与していると考えられている。我々は以前より末梢血分離好酸球細胞表面上のCRTH2の発現がPGD2によって、CCR3の発現がeotaxinによって濃度依存性に減少することを報告してきた。今回、好酸球増多症1症例において肺胞洗浄液と末梢血中の受容体発現を比較した。また末梢血全血好酸球細胞表面上のCRTH2とCCR3の発現をアレルギー患者と健常人について比較・検討した。【方法】好酸球増多症1症例の肺胞洗浄液と末梢血を用いてCRTH2とCCR3の発現を比較した。またアレルギー患者と健常人のヘパリンあるいはEDTA加末梢血に100μlのPE標識antiCRTH抗体、FITC標識antiCCR3抗体を加え、4℃30分反応後、赤血球を溶血させ、フローサイトメーターを用いて解析を行った。【結果と考察】好酸球増多症1例の肺胞洗浄液における受容体発現は末梢血に比べ低下していた。また末梢血全血を用いたアレルギー患者と健常人の比較では、アレルギー患者に有意な受容体発現の低下が認められ、CRTH2、CCR3の発現がアレルギー疾患のモニタリングに利用できる可能性が示唆された。