主催: 聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
<背景・目的>原発性胆汁性肝硬変(PBC)では、抗gp210抗体が予後予測抗体として有用であるが、PBCで出現する他の自己抗体の臨床的意義に関しては十分に検討されていない。<対象・方法>国立病院機構肝疾患共同研究グループに登録されている肝生検で確定診断されたPBC276症例(年齢30-83、中央値58歳、初回肝生検時Scheuer‘s stage 1,2: 217例、stage3,4: 59例)。血清の抗核抗体(gp210、SP100、centromere、chromatin)をELISA法で経時的に測定し、抗核抗体とPBCの進行との関連をstep-wise Cox proportional hazard regression、step-wise logistic regression model を用いて解析した。抗核抗体と肝生検組織の病理因子との関係についても同様に解析した。<結果>肝関連死亡、肝移植への危険因子としてgp210抗体陽性(hazard ratio 6.742, 95%CI :2.408,18.877)、肝不全型肝硬変への進行因子としてgp210抗体陽性(odds ratio 33.777, 95%CI : 5.930,636.745)、非肝不全型肝硬変への進行因子としてcentromere抗体陽性(odds ratio 4.202, 95%CI :1.307,14.763)が同定された。gp210、centromere抗体陽性の病理学的特徴として、interface hepatitis、ductular reactionが強いことが示された。<結語>PBCは抗核抗体の有無により進行群と非進行群に分類され、進行群はさらに、gp210抗体陽性の肝不全型進行群とcentromere抗体陽性の非肝不全型進行群に分類可能であった。