日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: S2-3
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合同シンポジウム2 免疫疾患の病態解明と診断の進歩
腸管慢性炎症性疾患におけるTreg、Th17、Th17/Th1、Th1細胞の産生誘導、競合性、可塑性に関する総括的検討
*金井 隆典筋野 智久三上 洋平佐藤 俊朗松岡 克善矢島 知治久松 理一日比 紀文
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キーワード: 炎症性腸疾患, Th17, 可塑性
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抄録

【目的】腸管慢性炎症性疾患においてTh1、Th17細胞がともに必須に関与し、かつ、CD4+CD25+ Treg細胞は直接的にTh1とTh17細胞を抑制すると考えられてきた。今回、IBD腸炎モデルを用い、Th17、Th1細胞の産生誘導と細胞間競合、TR細胞との関連、各細胞間の可塑性について包括的に検討した。【方法】1) RORγt GFPレポーターマウスLy5.2+ CD4+CD45RBhigh T (RBhigh)とWild typeマウスLy5.1+ TregをRAG2KOマウスに移入した(単独とTreg共移入群)。2) 単独移入群大腸CD4+細胞からGFP+、GFP-細胞を分離し、RAG2KOマウスに再移入した(GFP+、GFP-移入群)。3) RBhigh細胞移入腸炎マウスおよびIL-10 KO腸炎マウスのLP CD4+細胞を採取し同時に新たなRAG-2 KOマウスに移入した。【結果】1) 単独移入群ではTreg共移入群に比し、Th1細胞の増加を認め、Treg共移入群ではTh17とTh17/Th1細胞比率の増加を認めた。Treg共移入群ではT-betを発現せず、単独移入群ではTh17とTh17/Th1細胞においてもT-betの発現を認めた。2) GFP+、GFP-移入群とも腸炎を発症し、GFP+移入群でRORγt-T-bet+ Th1細胞 (alternative Th1)の出現を認めた。3) 共移入群大腸でCD4+ T細胞は共存し、IFN-γとIL-17産生能は単独移入群CD4+ T細胞に比し有意に低下した。【結語】慢性大腸炎においてTh17→Th17/Th1→alternative Th1経路とTreg細胞がTh17/Th1→alternative Th1細胞間を阻害することを発見し、Th1とTh17細胞がいずれも慢性大腸炎に必須である免疫病態の複雑性の一端を解明した。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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