日本臨床免疫学会総会抄録集
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第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: MS-1
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モーニング教育講演
セマフォリンによる免疫制御ーセマフォリンは疾患の鍵分子
*熊ノ郷 淳
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抄録

セマフォリンは、1990年代初頭から「神経ガイダンス因子」とされてきた分子群である。我々は2000年にSema4D/CD100の遺伝子を単離したのを契機に、免疫で機能する一群の分子群(免疫セマフォリン)の存在を明らかにしている。現在セマフォリンは、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症などの免疫疾患や、骨粗鬆症、心臓の突然死の原因など、種々の疾患の「鍵分子」であることが明らかになり、疾患治療の新たな創薬ターゲットとしても注目されている。今回のシンポジウムでは主としてセマフォリンの代表的な受容体の一つであるPlexin-A1を取り上げ、セマフォリンの細胞移動制御における役割について紹介する。
Plexin-A1は免疫系では樹状細胞に発現している。我々はPlexin-A1の免疫系での役割を明らかにする目的でplexin-A1欠損マウスを用いた免疫解析を行ったところ、Plexin-A1欠損下では樹状細胞のリンパ節への移動が障害されていた。更にイメージング等の詳細な解析により、樹状細胞が微小リンパ管を通過する過程において、リンパ管から分泌されるSema3Aが樹状細胞の後端部に作用し、non-muscle actomyosin contractionを誘導することにより、樹状細胞移動を制御していることも示された。

(参考文献)
1) Nogi T et al. Nature 467:1123-7. 2010.
2) Takamatsu H, et al. Nat Immunol. 11: 594-600, 2010.
3) Suzuki K. et al. Nat Immunol. 9:1725, 2008.
4) Suzuki K.et al. Nature446, 680-685, 2007.
5) Takegahara N. et al. Nat Cell Biol. 8, 615-622, 2006

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