日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: ES-2
会議情報

イブニング教育講演
フォスフォイノシタイド3キナーゼを標的とした免疫制御の可能性
*小安 重夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

 CD4陽性T細胞は、樹状細胞によって抗原刺激を受ける際に、周囲の細胞から供給されるサイトカインの種類によって異なる機能を持つTh細胞へ分化する。Th1細胞は主としてマクロファージ、NK細胞、細胞傷害性T細胞の活性化を伴う炎症を誘起する。一方、Th2細胞は、好酸球や肥満細胞の活性化を介した炎症を誘起する。一方、近年明らかにされたTh17細胞は、好中球の動員を介して炎症を誘導する。これらの炎症は、微生物や寄生虫の感染時の感染体の排除に重要であるが、制御不能になると様々な自己免疫疾患や炎症性疾患の原因となる。また、炎症の制御にはやはりCD4陽性細胞を起源とする制御性T細胞(Treg)、マクロファージ、樹状細胞などからの抗炎症性サイトカインが重要である。  演者らのグループはこれまでに、脂質リン酸化酵素であるフォスフォイノシタイド3キナーゼ(PI3K)が樹状細胞からのサイトカイン発現調節に重要な役割を果たすこと、特にTh1の誘導に重要なIL-12の発現がPI3Kによって負に制御されることを明らかにしてきた。さらに、PI3Kの下流でmTORとGSK3βがそれぞれ独立に炎症性サイトカインであるIL-12と抗炎症性サイトカインであるIL-10の発現を制御することも明らかにしている。さらに、Th17分化においては、T細胞に発現するPI3K-Akt-mTOR経路が重要であることも明らかにしている。これらの知見をもとに、PI3K-Akt-mTOR経路の阻害剤を用いて,Th1反応やTh17反応の制御に成功している。本講演では、これまでの研究を紹介したい。

著者関連情報
© 2011 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top