日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: W2-5
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ワークショップ2 遺伝子多型・遺伝子異常
β2-Glycoprotein I 379T/-フレームシフト変異と抗β2GPI抗体の関連性
*中川 久子保田 晋助藤枝 雄一郎堀田 哲也渥美 達也小池 隆夫
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抄録

β2-Glycoprotein I(β2GPI)は抗リン脂質抗体症候群(Antiphospholipid syndrome;APS)の主要な対応抗原である。自己抗体が動静脈血栓症や妊娠合併症などの臨床症状を引き起こす機序については不明の点が多いが、抗β2GPI抗体がannexin II、Toll-like receptor、ApoER2やゲルゾリンと複合体を形成したβ2GPIと結合する事で血管内皮細胞、単球や血小板の異常な活性化を誘導するとの報告がある。 β2GPIの遺伝子多型のうち、Ser88Asn、Leu247Val、Cys306Gly、Trp316Serが抗β2GPI抗体と関連すると報告されている。当科で発見されたβ2GPI 379T/-(β2GPI Sapporo)は、フレームシフトによりexon 6でstop codonが入り、ホモ変異でβ2GPI欠損となる。ヘテロでは血清中のβ2GPI濃度が低値を示すことが明らかになっている。本研究は、β2GPI 379T/-と抗β2GPI抗体の関係について検討した。 対象は健常人428名、APS135 名、SLE294名とし、TaqMan genotyping法を用いて解析した。その結果、ヘテロ欠損の割合は健常人で3.0%に対しAPS患者では7.2%であった(p=0.0025, Odds 3.29)。さらに抗β2GPI 抗体の有無で検討した結果、抗β2GPI抗体陰性群のヘテロ欠損頻度1.3%に対し、抗体陽性群では8.8%と有意に高頻度であった(p=0.0124, Odds 8.83)。β2GPI 379T/-は抗β2GPI抗体の産生に関連し、さらにAPS発症のリスクとなっていた。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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