日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: W3-1
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ワークショップ3 自己抗体
抗ARS抗体症候群の臨床的特徴:抗体別にみた臨床症状、経過および予後の検討
*濱口 儒人藤本 学竹原 和彦山田 秀裕桑名 正隆
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キーワード: 抗ARS抗体, 筋炎, 間質性肺炎
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抄録

【背景】抗ARS抗体は抗Jo-1抗体をはじめ8種類が報告されている。これらの抗体陽性例は、間質性肺炎、発熱、関節炎、レイノー症状、Mechanic’s handなどの共通した臨床症状を有し、抗ARS抗体症候群と呼ばれる。しかし、各抗ARS抗体は特徴的な臨床像を持つことも示唆されている。【目的】抗ARS抗体症候群を抗体別に分類し、その臨床的特徴、経過、予後について検討した。【方法】当科で免疫沈降法を施行して抗ARS抗体を同定した患者165例を、抗Jo-1抗体(Jo-1:59例)、抗EJ抗体(EJ:38例)、抗PL-7抗体(PL-7:29例)、抗PL-12抗体(PL-12:18例)、抗KS抗体(KS:13例)、抗OJ抗体(OJ:8例)の6群に分類し、各群における臨床症状を検討した。【結果】いずれの群も90%以上に間質性肺炎を認めたが、関節炎の頻度はOJで他群に比べ有意に低かった。筋症状はJo-1、PL-7、EJと相関したが、PL-12、KSでは低頻度だった。ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候はKS、OJで低かった。爪上皮出血点に差はみられなかった。間質性肺炎で発症した場合、Jo-1、EJ、PL-7はPL-12、KS、OJに比べ高頻度に経過中に筋炎を発症した。5年生存率はいずれの群でも90%以上だった。Jo-1、PL-7では半数以上に再燃を認めたが、OJは他群に比べ再発の頻度は低かった。【結語】抗ARS抗体症候群において個別の抗ARS抗体を同定することは、臨床症状、経過を推測する上で有用であることが明らかにされた。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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