臨床神経生理学
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原著
刺激特性の異なるStop-signal課題の遂行成績と事象関連電位からみた定型発達成人の反応制御過程の検討
中野 泰伺岡崎 慎治
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2018 年 46 巻 6 号 p. 551-560

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抄録

定型発達成人23名を対象に, Go刺激とStop刺激の組み合わせ (クルマ刺激条件と記号刺激条件) の異なるStop-signal課題遂行時の反応制御過程について, 刺激条件の違いが遂行成績やERPに及ぼす影響を検討した。その結果, 遂行成績では, 記号刺激条件に比べてクルマ刺激条件における正反応時の反応時間やSSRTが有意に延長し, 左右エラー率が上昇した。ERPでは, 記号刺激条件に比べてクルマ刺激条件におけるGo刺激呈示後175–225 msまでの区間でのGFPピーク値の有意な上昇, GFP潜時値の有意な延長がみられた。同様に, クルマ刺激条件におけるStop刺激呈示後175–225 msまでの区間でのGFPピーク値の有意な上昇, 230–400 msまでの区間でのGFPピーク値の有意な低下, Stop刺激への抑制成功時におけるP3振幅値の有意な低下が, それぞれみられた。以上より, Go刺激, Stop刺激ともに刺激条件, とりわけ刺激の弁別難易度が注意処理資源の配分に影響を及ぼし, その影響は遂行成績およびERP成分動態に反映されることが示唆された。

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© 2018 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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