2018 年 46 巻 6 号 p. 561-566
つぎの刺激の予測が難しい間隔の聴覚リズム刺激に運動を同期する能力が, その間隔の中間時点に刺激を1音挿入してリズムを刻む練習をすることで向上するかを検討した。24名の健常成人を練習方法の違いによりA群とB群に割り付けた。A群は2,000 msの間隔の刺激に指タッピングを同期する練習, B群は1,000 msの間隔の刺激に2回に1回の頻度で指タッピングを同期する練習とした。両群とも練習の前後に, 予測が難しいとされる2,000 msの間隔の刺激に指タッピングを同期する課題を実施した。指タッピング間隔の変動係数, 同期誤差の標準偏差, 反応的タッピングの出現率は練習前に有意差はなく, 練習後はA群よりB群が有意に低値を示した。リズムを感じ取りやすい1,000 msの間隔の刺激を手がかりとして運動することで, 2,000 msの間隔の周期的な運動の制御に関わるタイミング調整機構の精度が高まる可能性を推察する。