臨床神経生理学
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特集 「てんかん学と臨床神経生理学との接点―その最新知見と臨床応用―」
てんかん焦点診断における核医学検査
稲次 基希橋本 聡華樋口 真人石井 賢二前原 健寿
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キーワード: 核医学検査, PET, SPECT
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2018 年 46 巻 6 号 p. 595-601

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抄録

てんかん外科ではてんかん焦点を切除することで根治が期待できるが, その可視化はいまだ困難である。機能画像であるPET, SPECTなどの核医学検査は, MRIなどの形態画像とは異なる観点からのてんかん焦点の可視化が期待される。臨床では糖代謝を評価するFDGPET, 中枢性ベンゾジアゼピン受容体を反映する[11C]flumazenil-PET, Iomazenil-SPECTが主に用いられる。これらはそれぞれ焦点における機能低下, 神経密度の低下を示し, いわゆるfunctional deficit zoneを示す。また, 発作時には脳血流が増加することを利用する発作時SPECTは, 術後の発作残存例などにおいても有効である。現在より本質的なてんかん焦点の描出を目標とした放射性薬剤の開発が進められている。現状ではトリプトファン代謝やTSPO, グルタミン酸受容体などが特に注目されている。これらの研究は焦点診断法の開発のみならず, てんかん原性の機序の解明としての役割も期待される。臨床, 基礎における核医学検査の現状を報告する。

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© 2018 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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