臨床神経生理学
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症例報告
免疫グロブリン大量静注療法に反応性を示したX-linked Charcot–Marie–Tooth disease type 1の一例
青木 怜佳駒ヶ嶺 朋子国分 則人橋口 昭大高嶋 博平田 幸一
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2020 年 48 巻 1 号 p. 8-14

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抄録

X-linked Charcot–Marie–Tooth disease type 1 (CMTX1) には亜急性増悪を示し免疫グロブリン大量静注療法 (intravenous immunoglobulin therapy; IVIg) が奏功する例の報告があり, 少なくとも一部において末梢神経の免疫学的脆弱性の存在が考えられている。症例は51歳男性, 46歳頃より躓きやすさが出現, 51歳時より約3か月の経過で右手の巧緻運動障害や歩行障害が進行した。槌趾のほか, 右母指球筋萎縮, 四肢筋の脱力と腱反射消失, 感覚失調を認め, 神経伝導検査では複合筋活動電位の時間的分散を含む脱髄所見を認めた。IVIgを行い症状は一旦改善したが, 徐々に増悪し53歳時に再度受診した。母親にも下肢優位の末梢神経障害を認めた。本人・母親にGJB1 P70S変異が確認されCMTX1の診断に至ったが, 初回IVIgへの反応性から再度IVIgを行うと明らかな改善が得られ, 亜急性増悪に免疫学的機序が関与すると考えられた。

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© 2020 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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