臨床神経生理学
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特集 「統合失調症の病態とMMN」
統合失調症および精神病発症リスク状態に対するMMNの臨床的有用性
樋口 悠子住吉 太幹立野 貴大中島 英西山 志満子高橋 努鈴木 道雄
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2020 年 48 巻 6 号 p. 650-655

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抄録

ミスマッチ陰性電位 (MMN; mismatch negativity) の振幅は統合失調症などの精神病性障害およびその発症リスクが高い状態 (ARMS; at-risk mental state) で低下していることが報告されている。我々は初発, 慢性期統合失調症およびARMSの患者において持続長MMN (duration MMN; dMMN) を測定した。その結果, 初発, 慢性期統合失調症でdMMNおよびそれに引き続いて出現するreorienting negativity (RON) の振幅低下が見られた。更に, ARMSで後に統合失調症に移行した群については, 非移行群に比べdMMN振幅が有意に低かった。近年MMNの機能的転帰を予測するツールとしての応用について検討する報告も増えてきており, MMNはARMSの転帰予測因子としての期待が高まっている。

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© 2020 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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