2023 年 51 巻 3 号 p. 96-104
【目的・方法】2型糖尿病 (T2DM) における小径線維 (SF) と大径線維障害 (LF) の関係を知るために, T2DM患者168名でスドスキャンSudoscan (SS) による電気化学皮膚コンダクタンス (ESC) と神経伝導検査 (NCS) による糖尿病神経障害重症度馬場分類 (BDC) の関係を調べた。SSはフランスで開発された末梢C線維機能検査で本邦未導入であるため, SSの有用性についても検討した。【結果】BDCで検討症例の75%にLF障害が把握された。SSによる足底ESC低下率は47%で, BDC-0度群の21%にESC低下があった。ESC低下度・低下頻度とBDC進行の間には正の相関 (p<0.001) がみられた。【結論】T2DMではSFとLFが平行的に障害される。SSの診断感度はNCSにやや劣るが, SSはLF障害が軽度な神経障害初期のSF障害把握に有効である。本邦神経障害診療現場への速やかな導入が期待される。