臨床神経生理学
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特集「作業療法と臨床神経生理学」
経耳介迷走神経の作業療法への応用
桐本 光堀之内 峻之祢津 智久
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2024 年 52 巻 3 号 p. 194-198

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抄録

経耳介迷走神経刺激 (transcutaneous auricular vagus nerve stimulation: taVNS) がコリン作動性神経回路に及ぼす影響を検討することを目的とした。健常成人被験者22名を対象とし, 左耳甲介舟に間歇的 (30秒on/30秒off×30分間) または持続的 (15分間) taVNS, 耳朶への疑似刺激 (15分間または30分間) をランダムな順序で行った。刺激強度は感覚閾値と痛覚閾値の中間とした。コリン作動性神経回路機能の間接的な指標として短潜時求心性抑制 (SAI) を用いた。単発経頭蓋磁気刺激及びこれに20 ms前後先行した正中神経刺激が行われた時に短母指外転筋から記録された運動誘発電位の振幅比を, taVNS前, 終了後, 終了15分後に評価した。持続的taVNS条件では他の刺激条件と比較して, 刺激終了15分後にSAIが有意に上昇した。taVNSはSAIを促通することから, コリン作動性神経回路が機能低下した認知症, パーキンソン病患者の在宅リハビリテーションに活用できる可能性が示された。

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© 2024 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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