2024 年 52 巻 3 号 p. 199-205
近年, 作業療法における動作練習に低強度経頭蓋電気刺激を付加した介入の有効性が示されるようになってきている。低強度経頭蓋電気刺激の中でも, 頭皮上から交流電気を流す方法は, 経頭蓋交流電気刺激と呼ばれている。経頭蓋交流電気刺激は, 陽極と陰極の入れ替わりの周期に神経の固有振動の周期が引き込まれる現象を利用して, 神経の振動周期を変化させる手法である。はたして, 経頭蓋交流電気刺激による振動周期の調節は, 作業療法における動作練習の効果を促進するための有効な手段になりえるのだろうか? また, 作業療法における動作練習に経頭蓋交流電気刺激を付加した場合, その効果をどのように検証したら良いのだろうか? 本稿では, 経頭蓋交流電気刺激に伴う脳活動の変化や効果検証精度の観点からこれら二つの疑問について考え, 作業療法における経頭蓋交流電気刺激の応用可能性を探索した。