日本臨床プロテオーム研究会要旨集
第2回日本臨床プロテオーム研究会
セッションID: 19
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一般演題
血中プロテオーム解析による食道癌術前化学放射線療法の効果予測
*逢坂 由昭高木 融星野 澄人立花 慎吾林田 康治土田 明彦青木 達哉本田 一文山田 哲司
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抄録
【目的】術前化学放射線療法(以下、PCRT)症例の治療前血清を用いたプロテオーム解析を行い、PCRTの有効例、無効例のタンパク質プロファイリングパターンを同定することにより、その効果を予測できるか検討した。【方法】1998_から_2002年にPCRT施行後に手術を行った症例のうち検討可能であった42例(平均年齢61.9歳、stageII/III/IV:7/29/6)を対象とした。この42例を学習セット27例(PCRTの有効例、無効例のプロファイリングパターンを同定するセット:有効例15例、無効例12例)と検証セット15例(有効例10例、無効例5例)に分類した。次に学習セット27例の治療前血清からtime-of-flight型質量分析器(surface-enhanced laser desorption and ionization coupled with hybrid quadrupole time-of-flight mass spectrometry: SELDI-QTOF-MS)を使用してペプチドプロファイルを取得した。得られたペプチドプロファイルから機械学習法を用いてPCRT効果を高率に判別するマーカーセットを抽出した。最後に検証セットにて、抽出されたマーカーセットの有用性を検証した。【成績】学習セット27例を用いた解析からPCRTの効果を100%予測することができる4つの質量発現ピーク(7420m/z,9112m/z,17123m/z,12867m/z)のマーカーセットを抽出した。このマーカーセットを用いて、検証セット15例のPCRT効果予測を行った結果、有効例適中率100%、無効例適中率90.9%、判別率93.3%と高率に診断することが可能であった。【結論】治療前血清を用いたプロテオーム解析により食道癌化学放射線療法の効果予測が93.3%と高率に可能であった。今後、症例数を重ねて検討する必要があるが、個々の食道癌患者に適したオーダーメード治療の可能性が示唆された。
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© 2006 日本臨床プロテオーム研究会
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