17 巻 (1986) 3 号 p. 509-525
中枢性筋弛緩薬tizanidineにある程度の強化効果があることがサルの実験で観察されたため, ヒトにおける精神依存性の有無を検索する目的で健常人12名を対象として, 本薬およびdiazepamを用いて自覚効果に関する二重盲検比較試験を実施した.その結果, tizanidineは臨床常用1回最大量の3mgおよびその倍量の6mgが服用されても, placeboに比較して明らかな身体的および精神的自覚効果を示さなかった.一方, diazepam 10mgではplaceboやtizanidineに比較して, 有意に高い率で自覚効果に関する肯定回答が得られ, 「ねむい」, 「ぼんやり」等をはじめ, いくつかの項目で中枢抑制効果を示す肯定回答が高率にみられた.またdiazepamでは, その自覚効果を「好ましい」とするもの1例, 「うっとりとしたいい気分」とするもの2例, および「酔った感じ」5例など精神依存性があることを直接示唆する項目への肯定回答もみられた.なお, tizanidineのタッピングや血圧等に対する影響は6mgではdiazepamと同様に観察された.これらのことはtizanidine高用量投与による薬理作用が影響したと考えられる.また血中濃度の測定においても, 6mgでは3mgのときの約4倍の値が得られていることが確認された.