子育て研究
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子育てひろば新規利用者対象のコネクション・プログラムが プログラム参加者のエンパワメントに及ぼす効果
寺村 ゆかの
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2015 年 5 巻 p. 9-20

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抄録
地域子育て支援拠点は,地域の子育て家庭に対し相互交流の場を提供しそれを促進することを通して,親が主体的に育児に取り組めるよう支援することを主たる事業としている。本研究では,こうした主体的な育児への変容を育児にかかわるエンパワメント状態への変容と捉え,拠点を新規に利用し始めた母親たちの仲間づくりを活性化するためのコネクション・プログラム(6 か月以下の子どもを持つ母親対象の交流会)が,彼女らのエンパワメント状態をもたらすかどうかを検討するために,予備調査と本調査を実施した。予備調査では,ほぼ同時期に拠点を利用し始めた母親のうち,当該プログラムに参加した者と参加しなかった者4 名ずつをランダムに選び,彼女らを対象として,拠点利用開始からおよそ4 か月後に実施した半構造化面接によって,10 項目からなるエンパワメント評定尺度を導出した。本調査では,ほぼ同時期に拠点を利用し始めた母親のうち,コネクション・プログラムに参加した者と参加しなかった者を対象として,利用開始後およそ6 か月後に,上記のエンパワメント評定尺度を含む質問紙に回答するよう依頼した。その結果,参加者53 名のエンパワメント状態は,非参加者38 名のエンパワメント状態に比べて高いことが明らかとなり,拠点が提供するコネクション・プログラムには,利用者である育児早期の女性のエンパワメント状態を導く効果があることが示唆された。
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© 2015 日本子育て学会
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