分子間の会合により誘起される相分離やゲル化現象を取り込んだ高分子溶液の相図を導出する基礎的な考え方「会合高分子溶液理論」を紹介した。これにより,疎水性凝集による高分子ミセルの形成,ゾル・ゲル転移等の古典的Flory-Huggins格子理論では説明できなかった相転移現象の熱統計力学的な研究が出来るようになった。簡単な応用例として,高分子水溶液に見られる水和による高温相分離型(LCST)相図を導出した。水分子の高分子鎖への水素結合がランダムに形成される場合にはループ型および砂時計相分離領域が出現し,協同的に形成される場合には平らなLCST線を有する箱型相分離領域が出現することがわかった。