熱測定
Online ISSN : 1884-1899
Print ISSN : 0386-2615
ISSN-L : 0386-2615
コラーゲンの三本鎖構造の熱安定性に及ぼす水和の効果
西 義則内山 進小林 祐次
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 34 巻 4 号 p. 152-158

詳細
抄録

4(R)-Hydroxyproline(HypR)は蛋白質全体では稀なアミノ酸であるにも関わらず,天然のコラーゲンには頻繁に存在する。HypRはコラーゲンの三本鎖構造の熱安定性に貢献することが知られている。これまでに一連のポリトリペプチド(X-Y-Gly)10[X, Y: Pro, HypR, or 4-フルオロプロリン(fPro)]を用いてコラーゲンの三本鎖構造の安定化機構を調べる研究が精力的に行われてきた。DSC解析によって三本鎖から一本鎖への転移に伴う熱力学量を求めることにより,エンタルピー項が主として(Pro-HypR-Gly)10の熱安定性に寄与しているのに対して,(Pro-fProR-Gly)10や(fProS-Pro-Gly)10ではエントロピー項が主に高い熱安定性の要因であることが示された。溶液内で実測された分子体積と結晶構造より得られる固有体積の値との比較から,この違いはペプチドの水和の違いに起因することを明らかにした。

著者関連情報
© 日本熱測定学会
次の記事
feedback
Top