2020 年 24 巻 1 号 p. 95-99
オフポンプ冠動脈バイパス術(OPCAB)中の肺動脈塞栓症は稀であるが,右室流出路や伴走する静脈を損傷し,その修復中に肺動脈二酸化炭素塞栓症が発症した報告がある。今回術野で明らかな組織損傷を認めなかったにも関わらずOPCAB中に肺動脈空気塞栓症が生じた症例を経験した。
左内胸動脈−左前下行枝(LAD)の吻合終了後,肺動脈圧が急上昇し血圧が低下した。経食道心臓超音波検査(TEE)で右心系に気泡像を認め肺動脈空気塞栓症と診断した。LAD遮断のためにかけた針が右室を穿孔し,空気ブロワーの使用で空気が流入したと考えた。組織損傷が明らかでない場合にも発症することがあるためTEEを用い注意深く管理する必要がある。