2022 年 26 巻 1 号 p. 45-48
原発性心臓腫瘍は稀な疾患である。なかでも右室腫瘍の頻度は低く,患者の麻酔管理を行う機会は少ない。右室腫瘍摘出術では腫瘍塞栓による右室流出路の閉塞が循環虚脱を引き起こす可能性に十分な注意を要する。今回,高度な右室流出路狭窄をきたした心臓腫瘍摘出術を安全に管理しえたので報告する。症例は右室流出路から肺動脈弁にかけての腫瘍を指摘され,右室流出路狭窄解除を目的に腫瘍摘出術が予定された。術前カンファレンスにて腫瘍塞栓による循環虚脱への対応を協議し,体外循環をスタンバイしながら麻酔導入を行うこととした。麻酔導入時のリスクを十分に考慮し対応策を講じるとともに,麻酔科医をはじめとする多職種連携が重要であった。