Cardiovascular Anesthesia
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症例報告
人工血管置換術中に突然発症した左冠動脈主幹部閉塞の診断と治療に経食道心エコー検査が有用であった症例
工藤 雅響 國澤 卓之小出 康弘小田 利通
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2022 年 26 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

 70歳代,男性。上行大動脈人工血管吻合部の仮性動脈瘤に対する人工血管再置換術中にカテコラミンに反応不良な血圧低下を呈し,経食道心エコー検査(transesophageal echocardiography:TEE)で前壁・前側壁の局所壁運動異常(regional wall motion abnormality:RWMA)を認め,迅速に血行再建が必要な心筋虚血と判断し,さらにその原因が左冠動脈主幹部(left main coronary trunk:LMT)の血栓閉塞による血流途絶であるとTEEで疑い,経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention:PCI)を施行し救命に至った症例を経験した。術中にRWMAが生じた場合,その分布の評価,責任冠動脈と原因の推定,治療効果の評価を経食道心エコー検査が担っており,患者の救命・予後に対し,重要な役割を果たしていると考えられた。

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© 2022 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
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