デジタルアーカイブ学会誌
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デジタルアーカイブ学会第1回研究大会予稿
[P06] 大山の大綱引きのデジタルアーカイブについて
又吉 斎
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J-STAGE Data 電子付録

2017 年 1 巻 Pre 号 p. 94-95

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抄録

国の定める文化財保護法において、「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」として選定されている沖縄の綱引きという地域文化をいかにデジタルアーカイブ化するかについて検討し、その構成内容・記録撮影の方法について解説した。具体的には、沖縄県宜野湾市大山に伝わる綱引きをテーマとし、大綱の制作工程、祭祀儀礼を含む一連の綱引き行事、及び撮影方法について、歴史的背景とともにアーカイブ化した。こうした地域文化情報のデジタルアーカイブ開発を通して、いかに地域文化の継承・発展に寄与し得るかという視点から、クリエイティブ・コモンズが提供するCCライセンスの重要性について報告した。

はじめに稲作文化として発祥してきた綱引き行事の歴史を示す文化資料として、綱の材料となる稲藁の栽培環境(稲田)の様子や綱作り作業で用いられる脱穀機による藁鋤き作業とともに、大綱の形態が示す稲作文化としての儀礼的意味あいについて紹介した。

更に、稲作農耕と綱引き行事との結びつきを伝える綱引き前の一連の祭祀儀礼の様子についても、大山区民が継承してきた精神性を示す重要な文化情報の一つとしてアーカイブした。このほか、綱引き行事としては、綱を担いで集落を練り歩く道ジュネ―(スネイ)にはじまり、綱引き本番前の示威行為とされる旗頭の上げ合い勝負のガーエーや両綱をぶつけ合うダイナミックなアギエーと呼ばれる勝負も、綱引き勝負と同様に大山綱引きの特徴を示す文化情報として記録した。

最後に、綱引き行事の撮影記録について、撮影者10人による多方向撮影(10点)について解説した。

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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