2019 年 3 巻 3 号 p. 317-323
本稿では、デジタルアーカイブ/社会に“ストック”されていた白黒写真をAI技術でカラー化し、ソーシャルメディア/実空間に“フロー”を生成する活動について報告する。被写体が備えていたはずの色彩を可視化することによって、白黒写真の凍りついた印象が解かされ、鑑賞者は、写し込まれているできごとをイメージしやすくなる。このことは、過去のできごとと現在の日常との心理的な距離を近づけ、対話を誘発する。こうして生成された“フロー”においては、活発なコミュニケーションが創発し、情報の価値が高められる。この方法は、貴重な資料とできごとの記憶を、未来に継承するための一助となり得る。