ダム工学
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1999年台湾集集地震によるダムの被害について
大町 達夫
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2000 年 10 巻 2 号 p. 138-150

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抄録

1999年台湾集集地震 (マグニチュードMw7.5) では, いくつかのダムが被害を受けた。中でも石岡ダムは低角逆断層型地震断層に直撃され, 決壊に至る被害を受けた。本ダムは大甲渓の河口から約25kmに位置し, 1977年に建設された長さ357mの重力式コンクリートダムであり, 18門の洪水吐ゲートと2門の排砂ゲートを備えている。地震断層の食違いにより, ダム本体の右岸側には約7.5mの段差が生じたほか, 左岸にある取水トンネルも約3.5mの段差によって破壊した。日月潭の水社ダムと頭社ダムは, それぞれ30.3m, 19mの高さで, ともにコンクリート中央遮水壁をもつアースダムである。これらのダムにはダム軸方向に数本の亀裂がはいったが大被害には至らなかった。鯉魚潭ダムは高さ96mの中央土質遮水壁型ロックフィルダムであり, 地震により左岸側堤頂取り付け部に約10cmの開口が発生し, 堤体は10cm弱の沈下を示した。

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© 一般社団法人ダム工学会
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